「いい会社、いい担当者さん。でも、この間取りで妥協するしかない…?」
家づくりのご相談を受けていると、「契約しているビルダーの担当さんは、一生懸命、よくしてくださるんです」と、お施主さまはよくおっしゃいます。
一家庭にとっては非常~に大きな金額が動く、家づくり。多くのお施主さまは数社を比較検討したうえで、「この会社、この担当さんなら!」と、自邸の建築やリフォームを託しています。
それなのに、いざ間取りが出てくると、「え……これが、私たちの希望に沿った間取り……?」
なんとなく、それっぽい。だけど、なんか違う。修正希望を伝えても、次の図面もやっぱりピンとこない。担当さんは真摯に聞いてくれる。だけど、何か…何か、通じていない。
「えっ……これは……、施主が自分で、間取りを頑張って考えないとダメなの!?」
SNSで情報を集めては伝え、また打ち合わせ。それでも「これだ!」と思えず、モヤモヤが深まる。
そんな中、第三者が間取りをチェック・改善する「間取り相談」「間取りのセカンドオピニオン」を知り、この坂口のホームページにたどり着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
坂口の間取り相談は、住宅会社と戦うためのものではありません
「間取りのセカンドオピニオン」というと、第三者がビルダーさんの図面をチェックして、添削やダメ出しをする仕事、というイメージを持つ方もいるかもしれません。
実際、SNSでビルダー側の方と、セカンドオピニオン提供者が対立している場面を見ることもあります。そんなとき、私は、「うーん、お施主さま・ビルダーさん、双方にお役に立てる間取り相談のやり方もあるのになぁ……」と、やるせない気持ちになります。
私の間取り相談は、ビルダー担当者さんの案を否定し、ひっくり返す仕事ではありません。
むしろ、元図面をめちゃくちゃリスペクトしています。敷地条件や建築上の制約、お施主さまの希望をもとに、ゼロから間取りを考えるのはとーーーっても大変なのです! (私も現役で地元工務店の設計業務を請け負っているので、わかります。)
私が行っている間取り相談は、「私たち家族の希望が上手く伝わらない!」という行き詰まりをていねいに解きほぐして具体化し、「図面」という建築のコミュニケーションツールに翻訳すること。いわば、お施主さまと建築側をつなぐ通訳、「助っ人」業だと思っています。
まず、「お施主さまになりきれるまで」ヒアリングします
ビルダーの担当者さんは、その家に住む「お施主さま本人」ではありません(当たり前ですね)。そして家事や暮らし方は、一家族ずつ、やり方もこだわりも非常~に多様です。
たとえば、「パントリーが欲しいんです」と言われても、それだけでは、私は間取り改善をはじめられません。
「なぜパントリーが欲しいと思った?」
「何を、どのくらい置きたい?」
「中で作業もする? 収納だけ?」
「一つの部屋である必要がある? コーナーでもいい?」
パントリー1つでも、最低このくらいは聞きたくなってしまいます。
ヒアリングを重ねると、「あ・このご家族がイメージしているのは、こういう使い方なんだな」
「ここは必須だけど、これは妥協してもいいんだな」と、暮らしの様子が鮮明に浮かんできます。
私は「子育て・主婦業もこなす建築士」という背景、そしておせっかいオバサン的な性格上(笑)、お施主さまに一度「なりきれる」くらいまで理解しないと、気が済まないし、いい間取りが描けないのです。役者さんが、台本以上の背景まで取り入れて役作りをするのと似ているかもしれませんね。
ただし、聞いた希望を「全部盛り」にした間取りがいいとも思いません。お客様の暮らしを実現するのと同じくらい、「ビルダーさんが実際に施工できる・したいと思える」間取りに仕上がるか?も大切にしています。
「なぜこの間取りなのか」、ビルダーさん側の思考もくみ取ります
私が元図面を見るときは、ビルダーさんの工法、標準仕様、設計者さんの意図、得意な納まり、変更しやすそうなところ・しにくそうなところも、可能な限り読み取っています。
初案から現在の案までの経過をお伺いし、「あー、だから間取りがこうなったのか」と納得できることもあります。そして、「このビルダーさんの得意を活かし、施工しやすい範囲で、お施主さまの暮らしを最大限かなえるには?」という重なりを探します。
だって、お施主さまが比較して、悩んで、「ここぞ!」と決断したビルダーさんです。そのビルダーさんの得意なことや良さを生かせる間取りのほうが、進行面でも、コスト面でも、仕上がりの面でも、いい家づくりになるはず!と私は思います。
(私は、「この間取りが気に入らないなら、ビルダーさん変えたらどうですか?」とは、まず申しません!)
幸い、私は2014年以降、大手ハウスメーカーから小さな地域工務店、木造・鉄骨、新築・リフォームまで、多様な間取り相談を、全国のお客様と累計580件以上、みっちり行ってきました。現在も地元工務店の設計業務に携わっています。そんな経験もいかしながら、「住まう人」だけでなく「実際に建てる側の人」のことも考えて、間取りを整えています。
暮らしの希望を、「図面」というコミュニケーションツールに通訳します
もう一つ、私が大切にしているのが、寸法をきちんと入れたCAD図面です。(※CAD図面の提供は、スタンダードコース・プレミアムコースです。)
たとえば「カウンター下に収納ケースを置きたい」だけでは、建築側には必要な幅・高さ・奥行きまでは伝わりません。
そこで私が、根掘り葉掘り(笑)細か~く使い方を聞きとり、希望をかなえつつ妥協できる点を探り、
「この寸法の収納ケースを○段積むから、幅・高さ・奥行き○mm」
「身長○cmの夫さんが主に使うから、このカウンターは床から○mm」
と、建築側が読み取れる寸法入りのCAD図面にしていきます。
間取り相談の納品物は、お施主さまが眺めて満足するためのものではありません。ビルダーさんに持ち帰って、プランの練り直しや打ち合わせに使い、実際の建築へつなげてもらうためのものです。
その意図をスッと伝えるには、「図面」というツールが最適だと思っています。
さらに、平面図だけでは伝えにくい部分には、人物や収納するもの、家電などまで描き込んだ、坂口オリジナルの「くらしの展開図」も使います。

この「くらしの展開図」、お施主さまと一緒に磨きこんでビルダーさんへお渡しすると、その場所の使い方のイメージがぐぐっと伝わり、「打ち合わせがパ―――っと明るい雰囲気になった!」というご報告をいただくことも多くあります。
さて…、長くなりましたので…、次の記事(第2回)では、「くらしの展開図」を含め、私の間取り相談で実際にどんな図面や資料をお渡ししているのか、詳しくご紹介します。
この「間取りコラム」では、坂口の間取り相談・セカンドオピニオンをご検討くださる方に向けて、私が間取り相談で大切にしていることや手法を厳選してご紹介します。
「坂口のサービスは自分たちに合いそうかな?」と考える材料にしていただけたら幸いです。